マクロン大統領は10日、日刊紙のリベラシオンとラクロワとのインタビューの中で、「生命の終わり」に関する法案の骨子について説明した。4月に閣議決定し、国会審議を開始すると予告した。
安楽死の是非を含む「生命の終わり」に関する法案の策定は、2022年の大統領選におけるマクロン大統領の公約だった。市民が参加する協議会の結論は1年前に出ていたが、対立も多い案件であることから、大統領は法案策定を遅らせて各方面からの意見聴取を続けていた。それがようやく終わり、法案策定が完了する段階に入った。
法案は、ターミナルケアを拡充する一方で、「死を助ける」可能性に道を開く内容となる。ターミナルケア病棟がない21県にこれを新設し、支援体制の強化のために10年後をめどに10億ユーロの予算を設定する。「死を助ける」可能性については、安楽死や自殺ほう助という言葉は使わず、一定の条件下で、自ら死を選ぶ人に手段を与えることを可能にする規定が盛り込まれる。成年で十全な判断力を備えた人(認知症患者は除外)について、短中期的に死に至るのが確実で、軽減の可能性がない苦痛が伴う人に、本人による申請を経て致死性の医薬品を提供できるようにするという趣旨。医療スタッフによる承認が必要であるなど縛りが多く、現実的ではないとする批判の声も既に上がっている。法案の国会審議は難航も予想される。