アタル首相は27日、民放ラジオ局RTLなどとのインタビューの中で、失業手当の支給条件を厳格化する方針を示唆した。UNEDIC(失業保険管理機関)を共同運営する労使に交渉開始を求める考え。
アタル首相は、「働かないよりも働く方が多くを得られるようにする」という原則を掲げて、制度の再修正が必要との見解を示した。首相は理由として、失業保険の収支が、黒字は続くものの当初見込みより悪化する見通しであることと、企業が相変わらず求人難に直面していることを挙げた。
失業保険については、2023年2月1日に発効した前回改革により、支給期間が短縮されたばかりだった。この改革では、景気拡大局面では支給期間を短く、逆に景気後退局面では支給期間を長くするという原則を導入。現時点で支給期間は、53才未満で18ヵ月、53-54才で22.5ヵ月、55才以上で27ヵ月と定められている。ルメール経済相は以前から、これを18ヵ月に一本化することを提唱していた。
労使は現在、年金改革により定年年限が2年間引き上げられることに伴い、失業保険制度を手直しするための交渉を行っている。この交渉は3月26日を期限とする。政府はこれが終了するのを待って、労使に新たな交渉開始を要請する見通しという。現行交渉の結果をどう扱うかなどについては不明な点もある。政府はその一方で、失業手当に係るCSG(社会保障会計の財源となる目的税で、所得に幅広く課税される)の増税(失業手当に係る税率は3.8-6.2%だが、これを給与所得並みの9.2%に引き上げる)も検討しているといい、こちらでは年間6億ユーロの税収を確保できる。政府は、中産階級向けの20億ユーロの減税措置の財源としてこれを充当する計画だとする報道もある。