マクロン大統領は26日、パリで開いたウクライナ支援の国際会議の機会に、ウクライナへの地上部隊の派遣の可能性について言及した。大統領は、プーチン大統領のロシアが勝利することがあってはならないとした上で、ウクライナへの部隊の派遣について、コンセンサスはないが、今後の展望ということを考えた場合に、いかなる可能性も除外するべきではない、と言明。ウクライナ侵攻の開始当時には、武器は供与しないといった反応があったが、現在では状況は変化している、とも付け加えた。
大統領の発言の狙いは、ロシアの侵攻開始から2年を経て、厳しい状況にあるウクライナを支援する意志を明確に示し、ロシアをけん制することにあると考えられる。そのロシアは、部隊の派遣は派遣する国の利益にならない、との恫喝ともとれるコメントを発表。他の欧州諸国も消極的な姿勢を示し、部隊派遣の可能性をひとまず否定している。
フランス国内では、野党勢力が揃って大統領の発言を批判。保守野党の共和党は、「議会での審議を一切経ずになされた発言。熟慮の上の発言であるのか」(シオティ党首)と批判、社会党のフォール第一書記も、ロシアとの戦争は「狂気の沙汰」だとして、国会での審議と各政党の代表との会談を行うよう要求した。それぞれ伝統的にロシア寄りの立場で知られる極右RNと左翼LFI(不服従のフランス)も厳しく大統領を非難している。政府は沈静化を図る目的で、先にウクライナとの間で結んだ二国間協定の是非に関する議決の伴う国会審議を行うことを約束した。