仏イリアッド(通信フリーの親会社)とそのオーナーの実業家グザビエ・ニエル氏は26日、スウェーデンの通信事業者テレ2の19.8%株式を取得すると発表した。11億6000万ユーロ程度。テレ2の最大株主であるスウェーデンの投資会社Kinnevikが、保有株式の一部譲渡に応じた。
テレ2は1993年に発足。当時のいわゆる新電電として、本国のスウェーデンだけでなく、フランスを含む欧州諸国に幅広く進出した。欧州事業はそのほとんどが売却されており、現在は、スウェーデンとバルト3国の合計4ヵ国で、固定・携帯サービスとIPテレビ等のサービスを展開している。2023年の年商は290億スウェーデンクローナ(26億ユーロ)、従業員数は4400人。
イリアッドはフランスのほか、ポーランドとイタリアに進出している。ニエル氏はこのほかに、持株会社などを通じて、アイルランド(Eir)とモナコ(モナコ・テレコム)の通信事業者を保有、最近ではベルギー(Proximus)にも投資した。こうした出資先の事業も広く含むと、加入者数は5000万人、年商は100億ユーロを超える規模に達する。欧州における国際進出に積極的で、最近ではボーダフォンのイタリア事業の買収を試みたが、こちらは失敗に終わっていた。ウクライナの携帯事業者Lifecellの買収案件(5億ドル)も進めている。