パリ市内のポルトドベルサイユ見本市会場で24日、農業見本市が開幕した。農民らによる抗議行動の余波で、初日には大きな混乱が生じた。
マクロン大統領は同日に、恒例通りに開幕式を挙行したが、それを前に、会場の内外で抗議行動の農民らと治安部隊が衝突する場面があった。300人から400人のデモ隊が会場に押し寄せたとされる。6人が逮捕され、治安部隊員のうち8人が負傷した。大統領の序幕式は実施が予定より2時間半遅れ、大統領の会場訪問は一時、実現が危ぶまれたが、厳重な警戒態勢の下で行われた。至るところで大統領がブーイングを受ける場面もあり、予想通り荒れ模様の開幕となった。
大統領は、訪問に先立って農民らと2時間にわたり懇談し、農民らの要求に答えて見解を披露した。規制や手続き等の枠組みの簡素化や、農薬削減プランの実施方法の見直しといった、発表済みの措置について説明すると共に、農産品の価格最低限の導入に前向きの姿勢も示した。大統領は、設定した価格最低限に法的効力を持たせ、食品メーカーや小売業者等の需要家との交渉において実効ある形で生産者が依拠できるようなものとする考えを示した。
大統領は訪問時に、欧州からの離脱が解決になると農民たちに吹聴するものもある、などと述べて、農民の不満に付け入って集票を狙う極右RNを批判。そのRNのバルデラ党首は25日に農業見本市の会場を訪れ、農民らに向けて、国産品の優先を実現するために規則を改めるなどと約束した。6月の欧州議会選挙を前に、政治的な駆け引きも活発化している。