教育省は、パリ五輪の開催にあわせて、記念の2ユーロ硬貨を目玉とする「五輪セット」をすべての小学生に配布するキャンペーンを開始する。これに教職員が猛反発している。
このセットは、記念2ユーロ硬貨とその説明のパンフレットからなる。報道によれば、その費用は1600万ユーロに上る。全国の小学生の数は630万人程度であり、一人2ユーロの記念硬貨だけで1260万ユーロがかかる。これにパンフレットの製作費やら諸々が400万ユーロ弱という計算になるのだろうか。このセットが1週間ほど前から全国の学校に納品されるに及んで、教職員側の怒りが高まっている。折しも、政府は経済成長率予測の下方修正に伴い、100億ユーロの節減を決めたばかりというタイミングでもあり、教職員側は、教育的な要素がまったくないキャンペーンに予算を使って、肝心のことをおろそかにしている、などと政府を攻撃している。
政府の側では、以前から決まっていたキャンペーンであり、五輪という歴史的なイベントを子どもたちと共有できる意義は大きいなどと釈明。大革命から200周年を迎えた1989年に、当時のミッテラン政権が1フランの記念硬貨を小学校最終学年の生徒に配布した前例があるとも説明している。