環境問題の仏シンクタンクI4CEは2月21日、2030年までに欧州連合(EU)において必要な温室効果ガス削減対策の投資に関する報告を公表する。この報告は、エネルギー、建物、輸送の3項目を対象としており、データが不揃いな農業部門と工業部門は除外されている。この集計によれば、EU全域における関連投資は2022年に4070億ユーロに上り、前年比で9%増を記録した。ただ、現状では不十分で、2024-30年の期間に年間平均で8130億ユーロの投資が必要になる。現状比での不足分は4060億ユーロということになるが、I4CEは、これがEUの国内総生産(GDP)の2.5%に相当することを指摘、支えられない規模ではないと説明している。部門別の投資不足分は、輸送で1470億ユーロ、建物で1370億ユーロ、エネルギーで1220億ユーロとなる。より細かい項目(全22)別では、水力発電とエネルギー貯蔵の2項目のみで必要な投資が確保できる見通しとなっており、それ以外では不足が予想される。不足分は、建物のエネルギー効率改善で940億ユーロ、EVで790億ユーロ、グリッドで420億ユーロ、陸上風力で410億ユーロ、洋上風力で330億ユーロ、鉄道で290億ユーロなど。I4CEは、目標達成に向けて各国政府に対してしかるべき選択をして投資の活性化を図るよう促した。