欧州委員会は20日、仏通信大手オレンジによるスペインのマスモビル(携帯キャリア)の買収を条件付きで許可した。欧州委はこれまで、携帯キャリアの統合を認めない厳しい姿勢を示してきたが、それに風穴を開ける判断として注目されている。
オレンジは子会社を通じてスペイン市場における第2位の携帯キャリアであり、マスモビルは第4位の携帯キャリア。合併後には、携帯ユーザー3000万人、固定サービスでは730万人の規模となる。両社は統合に当たり、一部の周波数資産を、MVNO(仮想移動体通信事業者)であるDigiに譲渡することを約束。Digiは現在、テレフォニカのネットワークを借りて事業を展開しているが、欧州委は、オレンジ・マスモビルに対して、Digiとのローミング契約締結に応じるよう、あわせて命じた。この契約は任意であり、締結の是非はDigiの判断に委ねられる。オレンジは買収を3月末までに完了する予定。
欧州の携帯通信業界では、高い投資費用をカバーできる十分な事業規模を確保するために、業界再編を進めるべきだという議論がある。ポルトガル(ボーダフォンとNowo)やデンマーク(テリアとNorlys)でも同様の合併の動きがあり、スペインでの合併計画の行方は業界が注視していた。