リモート就労中に発生した負傷の労災認定を求める訴訟で、原告側敗訴の判決が下された。11月9日付のパリ行政裁判所の判決内容がこのほど報じられた。
この事件では、パリ市職員の助産師の女性が、労災認定の却下を不服として訴えていた。事件は2021年3月22日に発生。この女性が、リモート方式でトレーニングを受けていた際に、落下物にぶつかって足指を骨折した。この女性は労災認定を申請したが、当局側は就労とは無関係の事故によるものとして認定を同年に却下。女性側がこれを不服として行政訴訟を起こしていた。
事故は、当日の午前10時過ぎに発生。休憩後に女性が靴を履くためクローゼットを開けたところ、アイロン台が倒れかかって足を直撃した。このため足指の複数個所を骨折した。裁判所は、勤務時間中に発生した事故ではあるが、職務の遂行に関係があるとはいえないと認定。労災認定の要件を満たしていないとして、訴えを退けた。
職場で発生した事故の場合は、状況はどうあれほぼ自動的に労災認定が与えられる。ただ、リモート就労においては、職務遂行と事故発生に直接の関係がないと労災とは認定されない。本件は公務員が対象だが、民間部門の従業員でも事情は変わらない。法律専門家によると、例えば仕事中になした動作がきっかけとなって落下物に当たったというような状況なら、労災認定は得やすくなるという。