パリ地裁は4日、中道与党MODEMの架空雇用事件で判決を言い渡した。被告人のうち8人に有罪判決を言い渡した。MODEMのバイルー党首は無罪判決を得た。
この事件では、MODEM所属の欧州議会議員らが、議員秘書として党の職員を雇用し、欧州議会とは関係のない党の職務を遂行させていた疑惑が浮上し、公金横領などの容疑で合計11人が起訴されていた。裁判所は、メルシエ元法相やベナミアス元欧州議員を含む8人の被告人について、執行猶予付き禁固10ヵ月から18ヵ月の有罪判決を言い渡し、1万ユーロから5万ユーロまでの罰金刑をあわせて言い渡した。また、被選挙権の2年間の停止処分を執行猶予付きで下した。MODEMとその前身のUDFには、前者が35万ユーロ(うち30万ユーロは執行猶予なし)、後者が15万ユーロ(うち10万ユーロは執行猶予なし)の罰金刑を下した。反面、バイルー党首とあと2人の被告人には、証拠不十分を理由に無罪判決を言い渡した。バイルー党首については、一連の架空雇用を了承していた疑いで起訴されたが、裁判所は、党首が了承していた可能性はごく高いとした上で、党首が違法行為を知らされていたという証拠が示されなかったとして、無罪判決を下した。裁判所はまた、組織的な違法行為であるとは認められなかったとし、個人が不正に利益を得たこともなかったと認めた。
起訴状によると、問題の違法行為は、欧州議会の3期に渡り6人の議員秘書の雇用に係りなされた。横領総額は26万2000ユーロに上る。
バイルー党首はこの疑惑の浮上に伴い、マクロン大統領の就任からほどなく、2017年6月の時点で法相を辞任していた。無罪判決を得たことで、アタル内閣に入閣する可能性を含めて、政治の表舞台への復帰を目指す可能性がある。バイルー党首は72才で、大統領選挙のかつての常連候補でもあり、大統領就任の意欲をまだ捨てていないという見方もある。
他方、極右政党RNも、同じ欧州議会を舞台にした架空雇用問題で追及を受けており、マリーヌ・ルペン前党首を含む数人が起訴されている。9月に裁判が行われることになっており、その行方も注目される。