アタル首相は1日、首相府で農民向け支援措置を公表した。主な農民団体は首相の発表を肯定的に評価し、抗議行動を中断することを決めた。
アタル首相は1月27日の所信表明演説でも農民向けの支援措置を予告していたが、農民団体側は発表を不十分として抗議行動を継続していた。首相は今回、3人の関係閣僚(フェノー農相、ルメール経済相、ベシュ・エコロジー移行相)を伴い、追加の支援策を公表。政府のこれまでの対応に誤りがあったと認めつつ、食糧主権の確立に努める姿勢を打ち出し、そのための一連の支援措置を予告した。
首相は特に、状況が厳しい畜産業者向けに1億5000万ユーロの支援(公租公課・社会保険料を通じた支援)を約束した。若年者の農業起業と農業経営体の継承支援には2000万ユーロの予算を設定した。首相府によると、このほかの一連の措置を含めて合計で4億ユーロの予算が投入されるといい、発表済みの2億ユーロの資金繰りの援助はそれとは別になされるという。
首相はまた、農薬使用量の削減を目的とした「Ecophyto」プランを一時中断し、内容を見直すと約束。欧州連合(EU)よりも厳しい規制は設けず、代替手段を確立した上で農薬の削減を進めると約束した。
首相の発表について、合計で多数派を占める農民団体のFNSEAとJAは揃って、これまでに発表された措置の実行を見届けることを優先するとして、現行の抗議行動はひとまず中断すると発表。新興の農民団体CRも抗議行動の「休止」を決めた。反面、左派系の農民団体CPは政府の発表を不十分として批判しており、「原価割れの農作物の仕入れの禁止」を求めて抗議行動を継続すると発表した。アタル首相は、環境問題で譲歩を重ねて農民の不満を緩和した格好だが、これに環境派は反発を強めており、これが新たな火種になる可能性もある。