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仏ベンチャー企業の資金調達、2023年に大幅減

EYの集計によると、フランスのベンチャー企業による資金調達額は2023年に合計で83億2000万ユーロとなった。例外的な好況だった前2年に比べて大きく後退、前年比では38%減、2021年比では28%減を記録した。2020年に比べると54%高い水準にある。

新型コロナウイルス危機が発生した2020年以降は、危機の影響を背景に急速にデジタル化が進んだこともあり、ソフトウェア関連を中心にベンチャー企業への投資が大きく伸びた。2023年にはそうした動きが一段落し、調達額が常識的な水準に戻った感もある。

調達件数は2023年に715件となり、前年の735件から減少したものの、金額の推移と比べると後退幅は小さい。全体として大規模な案件は少なくなり、1億ユーロ超の案件数は55%減(調達額では57%減)、5000万-1億ユーロの案件数は40%減(調達額では41%減)を記録した。反面、1000万ユーロ未満の小規模な案件数は6%増を記録。これは、アーリーステージの企業への資金供給を行うエコシステムが育ってきていることを示唆している。

分野別では、ソフトウェア・IT(案件数198件、調達額20億7700万ユーロ)が調達額で首位から2位に後退。入れ替わりで、グリーンテック(案件数105件、調達額27億400万ユーロ)が首位となった。エネルギー価格の高騰や供給懸念が技術投資への関心を高めたものとみられる。平均して案件の規模が大きいことにも特徴がある。他方、ソフトウェアは後退したものの、人工知能(AI)関連への関心は高く、同分野における資金調達の25-30%がAI関係となった。ミストラルAIによる2度の大型調達(1億500万ユーロと3億8500万ユーロなどの案件も目を引いた。

KSM News and Research