不動産業連合組織FNAIMの集計によると、中古住宅の取引件数は2023年に87万5000件となり、前年比で22%減少した。住宅売買は好況を続けてきたが、足元の金利上昇の影響が浸透し、2023年に入って大幅に冷え込んだ。
取引価格の低下はパリ首都圏で特に目立った。不動産仲介大手センチュリー21の集計によると、パリ市内の物件の平均取引価格は1平方メートル当たり9774ユーロとなり、前年比で5.5%低下した。首都圏では、一戸建てで3656ユーロ(5%低下)、アパートで4445ユーロ(7.8%低下)と、やはり値下がりが目立った。
ただし、フランス全体で見ると、一戸建ての取引価格はほぼ横ばい、アパートでは1.5%低下と、取引件数が大きく縮小した割には、価格はさほど下がっていない。地域により推移にばらつきも目立ち、ボルドーやリヨンなど、近年価格高騰が目立った一部の大都市では、反動で値下がりが顕著だが、ルマン、トゥール、ポワティエ、ナント、ラロシェル、アヌシーなどでは、6-7%の値上がりが続いており、全体でみると、2008年の金融危機時のような価格の急落は生じていない。買い手の側では、金利上昇に伴う購買力の縮小にあわせて、購入物件の面積を小さくするといった動きがみられるという。