フランス情報メディアのET TOI(エトワ)

フランスと日本をつなぐ

1€=

新規登録

移民法案可決:政府、違憲審査を憲法評議会に請求へ

国会で移民法案が最終的に可決されたのを受けて、政府は20日、同法案の違憲審査を憲法評議会に請求する方針を明らかにした。マクロン大統領が請求を決めた。

移民法案は、両院協議会による妥協案策定を経て、保守野党「共和党」の意向を反映して厳しい修正を施された上で可決された。極右RNは同法案について、長年の主張が採用された内容になったと歓迎し、下院での採決では賛成票を投じた。左派勢力はマクロン政権が右傾化したとして強く批判。政府与党内でも対立が表面化しており、ルソー保健相が法案に反対して辞任した(フィルマンルボドー担当相が臨時代行に就任)。政府は、修正により追加された措置のいくつかは、憲法の規定に抵触する疑いがあるとみており、明確化を図るため、自ら違憲審査を請求することを決めた。移民受け入れ数の上限設定や、出生地主義による国籍付与に制限を加える条項、住宅補助手当(APL)の外国人向け支給の待期期間設定などの措置が違憲と認定される可能性がある。このほか、欧州連合(EU)域外からの留学生を対象にした保証金供出義務の導入には、大学関係者らが強い懸念を表明しているが、ボルヌ首相は、金額を少額に設定することが可能だなどと述べて、その適用に配慮する考えを示している。

マクロン大統領は20日夜、国営テレビのフランス5とのインタビューに応じて、移民法案を擁護。我々に欠けていた防護の盾であると述べて、移民法制定の必要性を強調。極右思想が浸透した内容であるとする主張にも反論した。なお、マクロン大統領はこのインタビューの機会に、婦女暴行疑惑の俳優ジェラール・ドパルデュー氏のレジオンドヌール勲章はく奪の是非について、有罪判決が確定していない現状で懲罰を決めるのはおかしいと言明。個人攻撃には与せないと述べて、ドパルデュー氏を擁護した。この発言には大統領を批判する声も上がっている。

KSM News and Research