ローマ教皇庁は19日、同性愛カップルに祝福を与えることを認める内容の公式文書を公表した。教義の内容を定める文書により新たな方針を明文化した。
カトリックは、同性愛者間の結婚を認めておらず、また、離婚者の再婚も結婚として認めていない。結婚は全部で7つある「秘跡」と呼ばれる特別な儀式に属し、同性愛者の間の婚姻はもとより、離婚者の再婚も、秘跡に相当する結婚としては扱われていない。これらに教会が一定の認知を与え、聖職者による祝福を受けられるようにするのが公式文書の狙いだが、具体的には、結婚と紛らわしい衣装の着用は認めない、ミサによる結婚式と同じ形式は採用しない、といった制限を明示し、結婚とは別の形での司祭による祝福を授けることを認めている。
この公式文書は、ダイバーシティに積極的な教皇フランシスコの意向を反映した内容と考えられる。現場の司祭の中には、非公式な形で既にこの種の祝福を行っている人も多く、現状を追認する内容だとする評もある。その一方で、熱心な信者が反発するリスクを指摘する向きもある。熱心な信者ほど寄付金額が多いことから、教会の収入に悪影響が生じる恐れもある。他方、今回の文書は、同性愛婚の解禁というにはほど遠く、同性愛を「罪」と認める教義は今日まで改正されていない。