ノール県県庁は10日、リール市にある私立アベロエス高校の認可取り消しを決定した。教育内容と外国からの資金の受け入れを問題視した。
アベロエス高校は、国内で認可を受けている数少ないイスラム教系の私立学校の一つ。2003年の開校で、生徒数は473人に上る。認可を取り消されると、公的助成金が受けられなくなり、生徒は、高校卒業資格(バカロレア)を外部生として受験する以外に、同資格を取得する道を断たれる。県庁は以前から同高校の運営を問題視しており、否定的な報告書をまとめた上で、去る11月27日に教育委員会を招集して審議を行い、認可取り消しを認める答申を得ていた。県庁側は、同校が2014年にカタールの団体から得た90万ユーロの寄付を問題視しており、校内の図書館に同性愛や文化関連の書籍・文書が備えられていないことなど、教育上の問題点も指摘していた。
学校側は、外国からの資金はその後受け入れていないことなどを挙げて反論しており、決定を不服として異議申し立てを行う構え。リール市のあるオードフランス地域圏のベルトラン議長(共和党)は以前からアベロエス高校を標的と見定めており、この地方で強い極右RNも同校の閉鎖を求めて働きかけていた。半面、左派勢力には同校を擁護する論調もみられる。