中学校教員のサミュエル・パティさんがイスラム過激派により斬首された事件(2020年10月)で、パリ地裁は8日、事件に関わった当時の中学生6人に対して有罪判決を言い渡した。被告人らが事件当時に未成年につき、裁判は非公開で行われた。
被告人のうち5人(いずれも男子)は、事件当日に学校前で犯人の男(事件後に死亡)と接触し、パティさんが現れたら報告するよう依頼され、報酬を得て依頼を遂行していた。最初に犯人と接触した被告人には、最も重い禁固2年(実刑部分6ヵ月)の有罪判決が言い渡された。被告人には、当局の監視下で収監されずに刑期を務めることが認められる。そのほかの4人の被告人には、禁固14ヵ月から20ヵ月の執行猶予付き判決(保護観察処分を伴う)が言い渡された。
残る1人の被告人は、事件の発端を作った女子生徒で、パティさんの授業を欠席していたにもかかわらず、パティさんがイスラム教徒の生徒を教室外に出させて、残った生徒に預言者ムハンマドの戯画を見せた、などと虚偽の証言をしてパティさんを提訴するなどしていた。この女子生徒の父親がこの虚偽を材料に騒ぎ立てた結果、イスラム過激派が触発されてパティさんを殺害していた。裁判所は、虚偽の告発の罪で、被告人に執行猶予付きの禁固18ヵ月の有罪判決(保護観察処分付き)を言い渡した。
6人の被告人とも、求刑にほぼ即した有罪判決となった。被告人らの弁護士らは一様に判決に安堵の念を表明しているが、原告に加わった教員連合は、真相の究明に至らなかったと不満の念を表明している。なお、今回の被告人の女子生徒の父親などを含む8人の被告人については、パリ特別重罪院においてテロ容疑の裁判が2024年末に開かれる予定。