マクロン大統領は7日、科学・研究界の代表を集めた会合を開いた機会に、研究・高等教育機関の抜本的な改革に着手すると予告した。研究事業の重複や無駄を省き、大きな目標に沿って効果的にリソースを投入できる体制を整えることを目指す。
大統領はまず、有識者からなる科学評議会を設置。評議会は年に数回会合を開き、研究の戦略的な方針を大統領に進言する。大統領はまた、研究事業の企画調整の任に当たる公的研究機関を指定する方針を明らかにした。テーマごとに7つの研究機関を選定。大統領は、農業についてINRAE、気候・生物多様性についてCNRS、保健についてINSERM、宇宙についてCNES、脱炭素エネルギーについてCEAという名前を挙げた。新型コロナウイルスワクチンの開発で遅れをとったことなどを教訓に、迅速に研究事業の協力と分担を手配できる体制を整える。大統領は、「フランス2030」投資プログラムから10億ユーロを振り向けることを約束した。
研究事業を進める手続きの簡素化も図られる。現在、例えば大学とCNRS(国立科学研究センター)の共同ラボの場合、予算の手続きを大学とCNRSの両方で行わなければならず、機材の購入などでも手間取ることが多いという問題があり、これを一元化する仕組みを整える。17大学(リール、エクス・マルセイユ、サクレー、グルノーブルなど)で試験導入を行う。また、大学は、地方単位で研究事業を組織するまとめ役の役割を担う。労組側は、地方単位での採用が進み、研究職の待遇にばらつきが生じることなどを警戒している。踏み込んだ改革の実現可能性を疑問視する向きもある。