会計検査院は6日、警察官等による職務質問に関する報告書を公表した。身元確認を伴う職質が年間4700万件程度行われているとする推計結果を提示した。
警察官等による職務質問については、移民系の住民が専ら対象とされ、社会的な対立を煽る結果になっていると問題視する向きもある。今回の会計検査院の報告は、人権擁護庁の依頼を受けてまとめられたもので、これまでほとんど集計がなされたことがないこの案件に新たな光を当てる内容となった。
2021年を対象にした調査結果によると、憲兵隊員が2000万件(うち830万件が自動車対象)、警察官が2700万件(うち660万件が自動車対象)で、合計で4700万件という結果になった。2016年の下院報告書は1400万件という試算を示しており、それと比べても極めて多い数字となった。本人確認書類を提示させても、警察官が内容の照会を行わず、記録に残らないケースも相当数あると考えられることから、実際はさらに大きいことが予想される。
会計検査院は、外見を理由とする職質がどの程度あるかについては、人種等に依拠する統計を処理することが法律で禁止されているため、実態の把握は難しいと説明。会計検査院はその上で、英国で導入されて成果をあげている取り組みに倣って、身体検査が伴う職質の場合に、検査を行った旨の証明を発行し、異議申し立て等をしやすくすることを勧告。また、警察官にカメラを携帯させて、職質等の動画記録を残すことなども勧告した。政府がこれらの勧告に従う可能性は低いとみられている。