アタル教育相は5日、学力増進を目的とする諸措置を学校関係者らに提示した。
教育相はこれまで、学力増進のための措置をまとめるため、関係各方面と協議を重ねていた。同日に発表された経済協力開発機構(OECD)のPISA(生徒の学習到達度調査)では、フランスの数学的リテラシーの結果が特に優れなかったが、それにあわせて発表を行うことで、対策を進める意志を明確に打ち出した。
具体的には、新たなカリキュラムを9月の次の新学年より、幼稚園から小学校までを対象に導入。PISAで高得点を達成しているシンガポールのメソッドを導入するなどの新機軸を打ち出す。中学校では、能力別の国語及び数学の授業を、やはり次の新学年から1年生と2年生を対象に導入し、2025年9月からは3年生と4年生(フランスは5-4-3制で、中学校は4年間)にも導入する。中学卒業時に行われる「ブルベ」と呼ばれる試験については、今後はその合格が高校進学の条件として求められることになる。不合格者は「高校準備級」に入って合格を目指すことになる。小学校における落第制度については、何かと議論があるが、教育相は、落第の是非の最終的な決定権を保護者に委ねている現行制度を改め、教員に最終的な決定権を与えることを提案した。このほか、高校卒業資格(バカロレア)試験に、数学及び科学的リテラシーを全員対象として追加し、その試験を高校2年次に行う(2025年9月に始まる新学年より実施)ことも提案した。
なお、PISAでは、フランスの数学的リテラシーの平均点が474となり、前回2018年の調査から大きく後退。OECD平均の480を下回った。