BNPパリバ銀行のローン子会社BNPパリバ・パーソナルフィナンスを被告人とする刑事事件裁判で、パリ高裁は28日、下級審の判決を支持し、不当な商行為があったとする有罪判決を言い渡した。最高刑である18万7500ユーロの罰金刑を言い渡すと共に、被害者の原告に対する損害賠償に応じるよう命じた。
この裁判は、BNPパリバが「Helvet-Immo」社を通じて、2008年から2009年にかけて販売したスイスフラン建ての住宅ローンを巡り争われた。この商品は、スイスフラン建てで融資し、ユーロ建てで返済するというものだったが、金融危機の影響で2011年にユーロが対スイスフランで下落したことから、ローンを組んだ顧客は返済額が急増した。顧客側が、リスクに関する十分な説明がないまま商品を売りつけられたと主張して訴えていた。
この事件では、これまでに、契約の取り消しなどを求める民事訴訟が複数争われている。当初は銀行側が優勢だったが、欧州司法裁判所が示した法令解釈と、最高裁が下した差し戻し判決を経て形勢が逆転し、顧客側の勝訴が続いていた。今回の刑事事件裁判では、2020年の下級審判決を支持し、パリ高裁が、罰金刑を言い渡し、損害賠償の支払い(現在価値で2億ユーロ)を命令。顧客への説明義務が十分に尽くされていなかったと認めた。BNPパリバ側は、判決には誤りがあるとの見解を表明。判決文を精査した上で対応を決めると説明した。
問題のローンは4655件に上り、融資総額は8億ユーロ程度に上っていた。なお、2013年には法令が改正され、外貨建てのローンは、当該外貨による収入が債務者にない限りは、販売が禁止されている。