政府は27日、先に労使がまとめた失業保険の制度改正合意の立法化を見合わせることを決めた。年金改革の影響が折り込まれていないことを理由に、合意の施行を先送りとした。失業手当支給額等については現行規則の適用が継続される。
失業保険は労使同数の組織UNEDICにより管理されている。労使共同運営が建前だが、近年は政府が制度の内容を決める上で指導力を強めている。政府は先に、収支の均衡に影響が及ばない範囲で制度の手直しを協議することを、労使に対して認めており、その結果、経営者側の全団体と、CGT及びCFE-CGCを除く全労組の間で合意が成立していた。政府がその内容を立法化することにより合意は施行されるが、政府はそれを見合わせることを決めた。
政府は、年金改革の影響が合意において考慮されていない点を問題視した。改革では、定年年限が62才から64才へ段階的に引き上げられることになっているが、この影響を折り込むとすると、そのままなら失業手当の支給条件を厳しくすることが不可避になり、それは労組側が承知しなかった。合意では、開始を予定していたシニア層の就業促進等に関する交渉の結果を踏まえて決める旨が盛り込まれたが、政府はこれでは不十分とみて、立法措置を先送りすることを決めた。政府が独自の判断で制度の手直しに踏み切る可能性もあるとみられる。労組側の反発も予想される。