欧州委員会は15日、2023年の経済成長率見通しを下方修正した。欧州連合(EU)とユーロ圏の経済成長率を共に0.6%と予想。従来予測をそれぞれ0.2ポイント引き下げた。
物価がまだ高めの水準にあり、金利上昇の下で投資が振るわず、外需も冷え込んでいることを踏まえて下方修正を決めた。加盟国のうち10ヵ国でマイナス成長となる見込みで、後退幅は、ドイツ(マイナス0.3%)、オーストリア(マイナス0.5%)、ルクセンブルク(マイナス0.6%)、チェコ(マイナス0.4%)、バルト3国(最大のエストニアでマイナス2.6%)、スウェーデン(マイナス0.5%)、ハンガリー(マイナス0.7%)、アイルランド(マイナス0.9%)となる。
2024年にはEUで1.3%、ユーロ圏で1.2%の成長を記録すると予想。雇用情勢が良好(失業率が6%前後)で、賃金上昇と物価低下が経済成長の支えになると予想した。インフレ率はユーロ圏で10月に2.9%まで減速。2023年通年では5.6%とまだ高いが、2024年には3.2%、2025年には2.2%まで順次低下すると予想した。加盟国の財務状況は健全化が続き、財政赤字の対GDP比は、EU全体で2023年に3.2%、2024年に2.8%と低下する。欧州委は2024年のリスク要因として、エネルギー価格が地政学的な緊張の影響で上昇する可能性があることを挙げた。