イルドフランス地域圏(パリ首都圏)の公共交通機関を統括するIDFMは11月13日、RER(郊外連絡急行)に配置を予定する新型車両「RER NG」を公開した。予定より2年以上遅れて投入される。
新型車両は仏大手のアルストムが開発。選定は2017年初頭になされたが、諸般の事情から開発は遅れた。当初計画では2021年半ばに就役開始の予定だったが、大きく遅れてようやく初号車両が完成した。IDFMから運行を委託されている仏国鉄SNCFは、開発遅れに伴い6400万ユーロの賠償金を現物支給(2023-24年の開発費用をアルストム側が負担)で得ている。
新型車両「RER NG」(NGはニュージェネレーションの意)は、2連結の最大編成で1860人乗りと輸送力が大きい。定時運行率が低く、混雑が目立つという問題を抱えるD線及びE線のテコ入れを図る目的で導入される。「ボア(うわばみ)」と呼ばれる、車両間の移動が容易な構造を採用した。
RER E線は現在、西部への延伸が工事中で、これが完成すると全長は56kmから111kmへ伸びる。新車両はまず125本が順次、E線に投入される予定で、これと並行して、D線(全長160km)にも130本が投入される。2024年上半期中に就役が始まる予定。合計では255本が導入されることになるが、開発の遅れもあり、これまでになされた確定受注は131本分となっている。製造はアルストムの北仏バランシエンヌ市近郊にある2工場でなされる。255本全体では、契約総額は37億5000万ユーロの規模になる。280本程度まで調達を増やす計画もあるといい、こちらの最終決定は2024年中になる見通し。