行政最高裁(コンセイユデタ)は9日、実力行使で知られる環境団体「スレーブマンドラテール(大地の蜂起)」の解散命令を無効とする判決を下した。行き過ぎた決定と判断した。スレーブマンドラテールは、サントソリーヌ村の農業用水地の建設計画に反対して治安隊と衝突するなど、過激な環境保護活動を展開してきた。政府は、同団体が暴力に訴えることを正当化し、それを教唆する活動を展開しているとの理由を挙げて、同団体の解散命令を6月21日付で公示したが、団体側はこれを不服として、取り消しを求める行政訴訟を起こしていた。行政最高裁は、緊急審理で決定を差し止めた上で、今回の本件審理でも、政府決定を不当として取り消す判決を下した。行政最高裁は判決理由の中で、2021年に発効の現行法令により、「人又は器物に対する暴力的な行動」を引き起こし、公の秩序に重大な混乱をもたらす団体である場合に限り、解散命令を下せると指摘。具体的には、かかる暴力的な行動を行うよう、言葉であるか行動によってであるかを問わず、明示的又は暗黙の形で扇動する行為、そうした暴力的行動を公の場で正当化する行為、又は、SNS上などでそのような扇動を抑制しようとしないこと、が解散命令の要件になるとの見解を表明した。その上で、同団体の場合、暴力的な衝突の動画を公表しただけでは、そうした暴力の正当化などに当たるとは言えないと指摘。また、器物への暴力的行為の扇動があったことは認めたが、結社・集会の自由に照らして、解散命令は比例の原則を満たしておらず、不当であると認定した。行政最高裁はその一方で、最近に解散命令の対象となったイスラム主義、極左、極右の3団体については、憎悪を扇動するメッセージの公表等の理由により、解散命令は適法であるとする判断をあわせて示した。