パリ市のイダルゴ市長(社会党)の仏海外領土訪問が物議を醸している。公私混同だと批判する声が一部から上がっている。
イダルゴ市長は、数人の助役らと共に、10月15日にニューカレドニアに向けて出発した。1週間に渡り、ニューカレドニア及び仏領ポリネシアを訪問する公式日程をこなした後、2週間にわたる休暇を仏領ポリネシアの島で過ごした。11月5日に帰国し、6日に執務を再開した。
何かと騒がしい時期に長期の休暇を遠隔地で過ごしたことが、論争を招く出発点になった。10月25日には、暴露報道で知られる週刊紙カナールアンシェネが、パリ五輪に関する20日の政府会合にイダルゴ市長が無断欠席し、南の島でバカンスを過ごしたとする趣旨の報道をして注目され、保守野党の共和党などが市長を攻撃する材料にするようになった。公式訪問では、目的の一つであったはずの、パリ五輪の一部競技が行われるポリネシアの会場の見学が見合わされたこともあり、無意味な訪問と私的な休養に公金が投入されたとする批判の声も上がっている。
パリ市は批判に反論するため、6日に日程や費用等に関する詳細を発表。公式訪問の目的は、海外領土をテーマとする文化イベントの準備、気候変動対策、パリ五輪の準備にあったとし、会場訪問の見合わせについては、環境派による反対運動があったことに伴い現地の自治体側からの要請に応じたもので、代理人に訪問を任せたと説明した。代表団の費用総額は、交通費が4万955ユーロ、宿泊・飲食費が1万8545ユーロとし、イダルゴ市長は復路については自前で負担したと説明している。2週間の休暇については、ポリネシアに赴任した教員である娘とその家族を訪問するのが目的だったと説明した。