エイズを緩解に導く可能性のある抗体を利用した治療法の第II相臨床試験が年内にフランス国内で開始される。エイズには今のところ、抗ウイルス薬の投薬を継続する以外の有効な対処法がないが、それに代わる有効な治療薬が実現する期待がある。
パスツール研究所などの研究チームが発見した抗体「EPTC112」が治療に用いられる。Molinos-Albertを筆頭筆者とする研究成果が去る7月に、専門誌Cell Host & Microbeに掲載された。ウイルス感染後に投薬を受け、その後に投薬が中止されたのに病状が進行しない人がまれに存在し、研究チームは、そうした人の研究を行い、関与する抗体を同定した。この抗体は、エイズウイルスの外被糖タンパク質に取り付いて、感染を妨げる役割を果たす。変異株に広く対抗できる点も、治療薬として特に有望な特徴となっている。
年内に仏国内で行われる第II相治験には、研究に協力したAP-HP(パリ首都圏の公立病院を統括)やINSERM(公的研究機関)も引き続き協力する。治療薬が実現しても、感染初期段階の患者向けという制約がある見通しというが、逆に、早期発見の検査への関心を高める効果が得られることも期待できる。