仏アトス(情報処理)は16日、ムニエ会長の解任を発表した。後任には、5月に独立系取締役に就任したばかりのミュスティエ氏が就任した。また、副会長には、やはり昨春に取締役に就任したコレビヨン氏が就任した。市場はこの発表を歓迎し、同社株価は同日の取引開始直後に21%の大幅上昇を記録した。
アトスは、有望事業のサイバーセキュリティ及びスパコン事業を新会社Evidenとして継続事業とし、情報処理事業は別の子会社Tech Fondationsに束ねた上で売却するという再編計画を進めている。去る8月1日には、Tech Fondationsをチェコの実業家クレティンスキー氏に売却する計画を発表し、独占交渉を開始したが、これには、売却の条件が悪いことに不満を抱いたファンド系の一部株主が反発していた。会社側はこうした反発に配慮し、人事を見直した上で株主らの説得に当たることにした。
売却計画では、売却に伴う現金対価が1億400万ユーロと小さく、アトス側はさらに10億ユーロの運転資金を負担することを約束している。18億ユーロの債務はクレティンスキー氏側が負担するが、全体として割に合わないとする不満の声が株主から上がっている。クレティンスキー氏はまた、Evidenの7.5%株式を取得して筆頭株主となるが、これには、野党の国会議員グループが、重要技術を有するEvidenへの外国資本の出資を問題視している。