スペイン資本のEvolyn社が、パリ・ロンドン間の高速鉄道事業への参入を計画している。実現すれば、ユーロスターに対抗する競合の初参入となる。
Evolynは、スペイン資産家のコスメン一族を主力とするコンソーシアム。同一族はモビコ(旧ブリティッシュ・ナショナル・エクスプレス)の主要株主。他の出資者の名前は明らかにされていないが、10億ポンドがEvolynに出資されたという。Evolynは仏アルストム(鉄道機器)に対して、新鋭の高速鉄道車両12本を発注(16本に引き上げるオプション付き)。識者によると、10本あればパリ・ロンドン間を1日20往復する運行が可能だという。2025年に英仏海峡トンネルにおける試験運転を行う計画で、2026年の開業を目指している。同社はまた、将来的に英国と欧州大陸の他の都市にも乗り入れる計画としており、旅客数1100万人の達成を目標に掲げた。
英仏海峡を経由する高速鉄道事業への参入では、10年前にドイツ鉄道(DB)が計画を発表したことがあるが、その後に断念した。2021年には、スペイン鉄道(RENFE)が参入意欲を表明したが、その後は発表がなされていない。今のところ唯一の事業者であるユーロスターは、ベルギー・オランダ・ドイツを結ぶタリスを最近に吸収して統合、仏国鉄SNCFの55%子会社となった。新型コロナウイルス危機中には苦しい状況に陥り、2020年と2021年に合計で4億8000万ユーロの損失を記録。2022年にEBITDAで3億3200万ユーロの黒字に復帰していた。