ドイツのハンブルクで10月9日から10日にかけて独仏政府の会合が開催されている。初日には製造業部門企業の動向が焦点となり、ショルツ首相とマクロン大統領が一緒に航空機大手エアバスのハンブルク工場を訪問して、省エネ型の「A321neo」などを見学した。
直前の8日のバイエルン州とヘッセン州での州議会選挙では国政与党が惨敗を喫しており、ショルツ政権は弱体化している。これまでもフランス政府は、ショルツ首相が連立与党間の調整に時間とエネルギーをとられて、欧州レベルでの協力への取り組みが疎かになりがちだと懸念してきたが、選挙での敗北を経て連立与党間の足並みの乱れがいっそう強まるリスクがある。特に自由民主党(FDP)を率いるリントナー財務相は10日、連立からの離脱も視野に入れた検討を進める方針を示唆した。その一方で、州議会選挙では極右勢力の対応も鮮明になったが、これはフランスも含めた欧州全体に共通の現象でもあり、独仏政府が協力して欧州における極右の台頭に対抗するという形での協力強化を促す要因になり得るとの見方もある。
また、両国首脳は7日のハマスによる奇襲を機に戦争状態に入ったイスラエル情勢についても協議し、ハマスによる攻撃と民間人の拉致を批判し、イスラエルへの連帯を表明した。両首脳はさらに、バイデン米大統領、スナク英首相、メローニ伊首相とも電話で協議し、共同声明で、テロリズムはいかなる場合も正当化されえないと宣言、イスラエルへの支援を表明した。さらに、イスラエルに敵対的な他の勢力がこの状況に乗じてイスラエルを攻撃することを強く牽制した。なお10日にはヒズボラが、イスラエル軍によるレバノン南部への砲撃でメンバー3人が死亡したことへの報復として、イスラエル軍の兵舎を砲撃したと発表した。これに対して米国は、イスラエルと新たな戦線を開かないようヒズボラに警告した。