仏経済省は5日、原子力分野にバルブを供給する仏2社の買収計画を禁止する決定を下した。戦略的に重要な企業として米社による買収案件を審査の上で禁止した。
買収が禁止されたのは、SegaultとVelan SASの2社。前者は仏海軍の原子力潜水艦と原子力空母向けにバルブを供給。後者は、EDF(仏電力)の原子炉向けにバルブを供給している。両社とも、カナダ・ケベック州のVelan社(産業用バルブ)の完全子会社だが、米同業フローサーブ(Flowserve)社が去る2月にVelan社の完全買収(2億4500万ドル)を提案。買収が実現すると、傘下の仏2社の所有権もフローサーブ社に移転することになるため、仏経済省が審査することを決めていた。今回、最終的に買収を禁止することを決めた。
SegaultとVelan SASの両社の年商は合計で1億ユーロ(前者が1500万ユーロ、後者が8500万ユーロ)に上り、Velanグループ全体の3分の1を占めている。グループ全体では世界に12工場を展開、1660人を雇用している。フローサーブは禁止決定に失望の念を表明した上で、買収計画を断念すると発表。適切な保障措置を提案したのに禁止されたのは残念であるとし、仏経済省の決定は、外資による直接投資を誘致する仏政府の目標にそぐわないともコメントした。今後にVelan社がどのような反応を示すかが注目される。