仏アルストム(鉄道機器)は5日、4-9月期(2024年3月期の上半期)の業績見通しを発表した。キャッシュフローが大幅なマイナスに転じたのを嫌気し、同社株価は終値で37.58%の急落を記録した。
発表によると、4-9月期のキャッシュフローは11億5000万ユーロのマイナスとなった。2024年3月期の通年ではマイナス7億5000万-マイナス5億ユーロとの予測を示した。従来予測は「明確な黒字」だったが、これが大幅に下方修正された。アルストムはその理由として、車両製造事業を中心に、買収を経て引き継いだプロジェクトの日程が重なり、製造の増強に資金が必要となったことを挙げている。4-9月期の11億5000万ユーロのキャッシュフロー赤字のうち、半額は、生産途絶を回避するための在庫の積み増しに由来しており、また、3分の1は、買収したボンバルディア・トランスポートから引き継いだ英国における契約(Aventra)に伴い発生したという。
アナリストの中には、この数字について、急激にキャッシュフローが大幅赤字に転じるのは考えにくく、何らかの問題が生じている可能性があると指摘する向きもある。アルストムのデルピCFOは、市場の失望に理解を示した上で、好機があれば資産の売却も検討すると言明した。
アルストムは4-9月期に83億ユーロの売上高(2.7%増)を達成。新規受注は16.8%減の84億ユーロに後退したという。アルストムは4-9月期の業績を11月15日に発表する。