政府は9月29日、農地を区切る生垣の再生プランを発表した。フェノー農相とエルアイリ生物多様性閣外相がモルビアン県(ブルターニュ地方)を訪問した機会に発表した。
農地を区切る生垣とはフランス語でhaie(エ)と呼ばれているもので、区切られた地帯をbocage(ボカージュ)といい、かつては田園の風情ある風景の一部をなしていた。降水時の水はけを確保するラインに沿って灌木が生育し、風よけなどの役割を果たしていた。しかし、大規模耕作にとって農機を入れた作業の効率を妨げる障害になると考えられるようになり、手入れにも手間がかかることから、廃止する動きが続いている。戦後以来では70%が消滅し、現在は75万km程度が残るに過ぎない。
生垣は現在では、様々な観点からその意義が見直されている。生物多様性の維持においては、特に野鳥に繁殖地などを提供し、またミツバチにも活動の場を与える。大量降水時には水をとどめて被害を小さくしたり、土壌侵食を軽減する役割を果たす。二酸化炭素を吸収する効果もある。そのため政府も、生物多様性保護プランの一環として生垣の振興に乗り出した。2030年までに総延長を差し引き後で5万km増やすという目標を設定。2024年から2027年まで1億1000万ユーロの追加予算を投入し、既存の生垣の保存と、新たな生垣の整備を支援する。
生垣を構成する灌木のバイオマス資源としての利用促進も目玉の一つだが、野鳥保護連盟LPOなどの環境保護団体は、灌木林の過剰な利用を抑止する保障が十分でないと問題視。また、援助を少なくとも2030年まで維持するよう求めている。