マクロン大統領は28日、コルシカ島議会で演説し、コルシカ島の自治拡大に向けた政府の見解を表明した。分離独立には応じない考えを示しつつ、島の独自性を認めて自治権を拡大する方針を示した。
大統領は、第2次大戦時のコルシカ島解放から80周年を迎えるのを機にコルシカ島を訪問。コルシカ島議会での演説では、コルシカ島の地位について憲法上に規定することを提案。「国(フランス)に対立する自立や、国のない自立」は認めないとした上で、フランス共和国の中にあって十全な独自性をコルシカ島に認めると説明。そのための憲法改正を行うと約束した。具体的には、コルシカ語を共同公式言語にするという要求に対して、「多言語教育の公共サービス」の創出を提案。不動産投機対策として非島民のフランス人を対象にした「居住権」の付与制度を導入するとの構想については、不動産投機の問題の存在を認めた上で、税制上の手段を中心として対策を講じることを提案し、要求には応じなかった。民族主義勢力が「コルシカ民族」の存在を憲法の中で認めることを要求していることについては、「コルシカ島の歴史、言語、文化のコミュニティ」という表現を提案。立法権をコルシカ島議会に委譲することを求める要求については、国の規則を島に適した形に改めることをより簡単に、また実効ある形で行えるようにすることを提案した。大統領は、コルシカ島議会を構成する政治勢力に対して、6ヵ月以内に、改憲法案について政府との合意を形成するよう促し、「タブーは設けないが、共和国の理想に基づいて行う」と説明した。
政府は2022年に、コルシカ島の政治勢力との間で協議を重ねており、大統領の演説はその協議のまとめという位置づけになる。コルシカ島の民族主義勢力は概ね大統領の見解表明を、開かれた姿勢を印象付けるものだとして歓迎しているが、今後に各論に入ったところで対立が鮮明になる可能性も残る。