アタル教育相は9月25日、ベルサイユ学区を訪問し、いじめを経て自殺した高校生に絡んだ件で、調査結果の一部を発表した。2022年度にベルサイユ学区がいじめ関連で父兄に送付した120件の書簡のうち、55件に問題があったと明らかにした。
この事件では、いじめ問題で苦しんでいた高校生の両親が学校側に相談したところ、両親を非難する内容の書簡を学区から受け取っていたことが自殺事件を経て明らかにされ、物議を醸していた。この書簡は、「今後は敬意のある建設的な態度で臨む」よう両親に促し、虚偽の訴えは刑法による処罰の対象になる、などと指摘して、両親側に圧力をかける内容だった。教育相はこれを「恥ずべき書簡」と形容し、真相究明のための内部調査を行わせていた。調査の結果は10月初旬に提出される予定。
問題の書簡は、ベルサイユ学区の法務部が作成したもので、学区のナンバー2である人事担当責任者が署名していた。「敬意ある建設的な態度で臨む」よう求めるといった文言は、学区側が特定の場合を想定して作成した書式集の一部であり、これが不適切な状況で用いられていた件数が55件を数えていたという。ベルサイユ学区は、生徒と父兄による虚偽の告発がきっかけとなって、イスラム過激派により中学校教諭が斬首される事件が発生したところでもあり、学区側がモンスターペアレントを想定して準備した書式が暴走した可能性もある。その一方で、生徒等から告発を受けたため学区側に法務支援を求めた教員らからは、両成敗的な譴責の言葉を伴う法務支援決定の通知を受け取ったとする証言が多く寄せられており、学区側が、教員と父兄の両方に背を向けて保身を図っていた疑いもある。関係者の責任追及を含めて、調査の結果が注目されている。