欧州太陽光発電事業者のSolarPower Europeは、欧州委員会および欧州議会に宛てた書簡の中で、太陽光パネルの価格が新型コロナ禍以前のレベルにまで低下しており、わずかに残る欧州メーカーが苦境に陥っているとして、緊急の支援を求めた。欧州委員会は、グリーンディールの一環である「ネットゼロ産業法案」の中で欧州に30GW規模の太陽光パネル生産能力を取り戻すことを目標としており、SolarPowerはこれを実行に移すことを呼びかけると共に、欧州製の太陽光パネルを中国製パネルの攻勢から保護するような措置(入札において価格以外の基準を考慮し、欧州製パネルを優先するなど)の実施を求めた。
太陽光パネルの価格は、原料価格の高騰を受け、2022年には50%近く上昇し、1ワットあたり35ユーロセントにまで上昇。しかし2023年に入り、エネルギー危機にともなって太陽光発電市場が活気づく中で、中国メーカーが製造能力強化に動いたことから、製造能力過剰が生じて価格が低下。現在は中国で1ワットあたり14ユーロセント、欧州で17ユーロセントにまで落ち込んでいる。欧州のメーカーは、エネルギー価格の高騰に苦しんでおり、8月末にはノルウェーのインゴット(シリコン単結晶ブロック)製造企業Norwegian Crystalsが倒産。また同じノルウェーのNorSunも、年末まで生産を停止すると発表している。