高額給与所得者に対する企業負担の社会保険料の減免措置の有用性を疑問視する下院議員作成の報告書が19日に公表された。予算法案の審議の際に廃止の議論が浮上する可能性がある。
この報告書は、与党ルネサンス所属のフェラシ下院議員と、左派野党の社会党所属のゲジ下院議員が共同でまとめた。超党派の報告書であるだけに、その提案内容の注目度は高い。
雇用促進の観点から、企業負担の社会保険料の減免措置は、低賃金雇用からはじまり、近年では対象が広がっている。現在では、法定最低賃金(SMIC)の3.5倍の給与所得者までが対象となっており、その総額規模は、2022年に736億ユーロに上る。対GDP比でみると、2004年の1.1%に対して、現在では2.8%にまで拡大している。減免措置は社会保障会計に財源縮小をもたらすが、基本的にその全額を国が補填する形となっており、財源浸食はそのまま国に移転されている。
報告書は、従来の調査研究を引用しつつ、SMICの2.5倍から3.5倍までに適用されている家族手当関連保険料の減免措置について、雇用創出や競争力向上の効果がほぼゼロか、ごく薄いと指摘。減免措置はSMICの2.5倍までにとどめるべきだと提言した。2.5倍超の減免措置を廃止した場合、年間で15億ユーロの節減が実現するが、その使い道については、SMICの1.6倍までの減免措置の増強(ルネサンスのフェラシ議員)とするか、医療部門等への予算の増額(社会党のゲジ議員)とするかで意見が分かれている。