経済紙レゼコーによると、仏政府は準備中の2024年予算法案において、所得税課税最低限等をインフレ率並みに改定する方針を固めた。不人気な実質増税を回避することを決めた。
2023年の通年インフレ率はもとよりまだ確定していないが、4.9%程度と高めの水準が続くことが予想されている。2022年には、所得税課税最低限等がインフレ率並みの5.4%と大幅に引き上げられていたが、それよりは小幅でもやはりかなり大きな引き上げになる見通し。ちなみに、この改定幅は2021年に1.4%で、それ以前も10年近くに渡りほぼそれ以下の改定幅が続いていたが、インフレ亢進を背景に、2022年を境にして大幅な改定に転じた。
2023年には、所得税課税対象となる最低所得額は独身者の場合で年間1万778ユーロだった(前年の所得額が対象)。所得税課税率は、11%、30%、41%、45%となっており、所得額によりそれぞれの税率の適用区分が定められているが、それらが一律に引き上げられる。この引き上げがなされない場合には、賃金上昇に応じて、それまで非課税だった納税者に課税がなされるなどのケースが生じ、実質増税がもたらされることになる。試算によれば、年間50億-60億ユーロの増税になるといい、増税はしないとの公約を掲げる政府にとって、課税最低限等の据え置きはできない相談だった。