民間部門の補足年金金庫(Agirc-Arrco)を共同運営する労使は5日、制度改正に向けた一連の交渉を開始する。年金改革に対応した制度の手直しを協議する。
補足年金金庫は、民間部門の2600万人の給与所得者から保険料を徴収し、1300万人に年金を支給している。基礎部分となる公的年金では、9月1日付で施行された年金改革により、定年年限が62才から64才へと段階的に引き上げられることが決まっており、これに対応して補足年金でも制度を改める必要が生じている。特に、2019年年頭に導入された支給額の増減制度の廃止が焦点になる。これは、補足年金金庫の収支改善を目的に導入された制度で、退職年齢が低いほど、比例して支給額を一定期間に渡り減額するという趣旨。定年年限そのものが引き上げられることから、早期退職の抑止というこの制度の必要性は薄れている。また、補足年金金庫の収支はそれ以来で改善している(2022年には50億ユーロの黒字を記録する見通し)ことを踏まえて、労使は制度の廃止を決めるものとみられている。
他方、補足年金金庫の準備金は680億ユーロに上り、その「活用」を求める圧力も高まっている。特に、受給額の低い人を対象にした支援制度への拠出を求める声がある。支給額の増額の是非も協議の対象となる。