政府は17日、いじめ対策の政令を官報上に公示した。加害者を引き離すため転校をさせる強制措置の実施を可能にする内容。
先の内閣改造で就任したアタル教育相は、いじめ問題に優先課題として取り組む姿勢を示している。新たな対策政令は、小学校から高校に至るまでの全学年を対象に、被害者ではなく加害者を転校させる措置を、加害者の保護者の同意を得ずに実施することを可能にすると共に、他校の生徒に対するサイバーいじめを主導した者を制裁することも可能としている。学校の校長が、クラスを全体として管理するだけではなく、各生徒の学校生活に至る管理を行うことができるようにする環境が整備される。
新措置について、いじめの被害者の両親らからは、よい措置だと歓迎する声が上がっているが、これだけでは不十分だとする意見も多く聞かれる。特に、加害者の生徒が、転校先で再びいじめを行ったり、また逆に、いじめの被害を受けるリスクもあるとし、ただ遠ざけるだけでは問題の解決にはならないとの指摘もある。
調査によると、いじめの23%が小学校で発生しており、新たな措置の適用対象を小学1年生からとした点は広く評価されている。被害者救済の支援団体は、新たな措置の導入により、いじめの被害者が名乗り出ることがより容易な環境ができ、報復を受ける恐怖心が軽減されると歓迎。その上で、小学校を運営する主体である市町村に小学校が一つしかなかった場合の対応など、細部においては柔軟に対策を運用できるようにすることが必要だとも指摘している。