雇用関連の政策費用が大きく拡大している。財政健全化の流れの中で見直し議論が浮上する可能性がある。
雇用関連の社会保険料減免措置の規模は、2023年に879億ユーロに上る見通しとなっている。このままだと2024年には900億ユーロを超えるのが確実視される。特に、法定最低賃金(SMIC)の1.6倍までの給与所得者を対象とする逓減型の減免措置と、使用者負担の健保保険料と家族公庫保険料の減免措置(それぞれSMICの2.5倍と3.5倍までの給与所得が対象)の規模が大きい。インフレ率に連動する形でSMICが大きく上昇する中で、減免額は自動的に大きくなり、また、対象者の数も拡大する傾向にある。雇用関連政策では、見習い研修制度と呼ばれるいわゆるデュアルシステム(就労と学業を並行して行って資格を取得する制度)の費用負担も大きく拡大している。政府は若年者の就業支援を目的に同制度の利用を積極的に後押ししており、2022年の利用者数は83万7000人と、2017年の30万5000人に対して大きく増加している。見習い研修生を受け入れる企業向けの手厚い支援が利用拡大に貢献しているが、制度の費用負担全体で2022年に168億ユーロと大きい。政府はその部分的な見直しに着手しており、見習い研修制度の教育機関側への支給金の段階的な減額を開始した。その節減額は5億ユーロ程度とさほど大きくない。