8月10日付の仏レゼコー紙は、INSEEの統計などに依拠しつつ、インフレの影響でフランスの世帯による食品の購入に異例の減少が起きていると報じた。2年ほど前から加速したインフレはまずエネルギー価格の上昇という形で現れたが、その後、食品価格にも波及した。INSEEの調べによると、2021年末から2023年6月末にかけての18ヵ月で、食品小売価格は18.4%の上昇を記録したが、同期間の家計の食品支出の伸び率は4.2%にとどまり、実質的な購入量は11.4%減少した。
経済研究所OFCEのエコノミストは、INSEEが1980年に食品消費の統計を開始して以来で最大の減少だと強調した。7月末に発表されたニールセンの世論調査によると、フランス人の3分の1が食品や必需品の購入を抑えているという。また、以前と比べて、より安価な製品、PB商品、特売品などを選択したり、価格設定を基準に商店を選んで買い物するなど、消費者の行動にも変化がみらえる。燃料価格も上昇している折から、自動車の利用を抑えて、自宅に近い店舗での買い物を優先する消費者も16%以上に上るという。社会学者のジュリアン・ダルモン氏は、インフレショックで一番強い影響を被っているのは、こうした消費習慣の変更を強いられた中間所得層だと指摘している。