マクロン大統領は7月27日、オセアニア諸国訪問の一環でバヌアツを訪問した。大統領は前日まで仏領ニューカレドニアを訪問。29日にはパプアニューギニアを訪問する。
この地域では、中国が勢力の拡大を目指して動いており、米国もこれに対抗する姿勢を示している。マクロン大統領はそうした構図の中で、均衡をもたらす大国としての地位を売り込むことを狙って、今回の歴訪を計画した。フランスは、アジア太平洋地域に人口160万人と900万平方キロメートルの排他的経済水域を有する欧州では唯一の国であり、地域における存在感の確保を目指している。
フランスはバヌアツの旧宗主国で、仏海外領土を除くと地域で唯一のフランス語圏国でもある。大統領は訪問の機会に、植民地時代のフランスによる搾取と人身売買の過去に言及した上で、新たな帝国主義が主権を脅かす脅威になっていると言明。条件が厳しい融資のせいで、最も脆弱な諸国は「文字通り首を絞められている」と述べて、名指しは避けたものの、中国による途上国への攻勢を批判した。
バヌアツは、水没への危機感から、気候変動対策の推進を要求する急先鋒でもあり、各国が負う気候変動対策上の義務を定めるよう求める国連決議を先に採択させることに成功した。フランスは共同声明においてこのイニシアチブへの支持を表明。マクロン大統領はまた、5年間でAFD(フランス開発庁)を通じて地域に2億ユーロの支援(うち半分が無償援助)を行うと予告。前5年比で5倍の増額になると強調した。