水素燃料電池の高級車を開発していた仏Hopiumが21日、会社更生法の適用下に入った。パリ商事裁判所が決定した。6ヵ月間の期限で事業を継続しながら再建を目指す。この期間は1回延長が可能だという。
Hopiumは2019年に発足。水素燃料電池の高級車「Machina」の開発を進め、注目されていた。時速230km、航続距離1000km、充填時間は3分の高級車を12万ユーロで発売する計画で、去る10月にそのプロトタイプを公表していた。2025年にはベルノン市(ノルマンディ地方)に工場を開き、将来的に1500人を雇用し、2026年から2000台を生産するとの計画も公表、クレディアグリコル銀行からは1万台の予約も得ていた。しかし、それ以来で風向きは変わり、収入確保の展望が立たないまま、損失額は2021年の800万ユーロが2022年には2390万ユーロに拡大。2022年には116人を採用していたが、今年に入って数十人を削減。CEOも交代となった。2022年5月に鳴り物入りで取締役となり、会長に就任していたジェバリ元運輸担当相も3月の時点で退社した。同社はパリ株式市場の上場企業だが、株価は2021年中頃の42ユーロに対して、21日には75ユーロセントを割り込むまで低下している。
同社は、水素燃料電池の特許25件余りの活用に力点を移し、自動車や船舶向けの燃料電池供給で巻き返しを図る意向だが、1年以内に量産化の道筋をつけることが存続の条件になる。