国会調査委員会は18日、「ウーバー・ファイル」事件の調査報告書を公表した。マクロン大統領がウーバーとの間で不透明な関係を築いていたと糾弾する内容になった。
「ウーバー・ファイル」とは、2022年7月に公表された調査報道案件で、フランスではルモンド紙などが、ウーバーの各国進出にまつわる攻撃的なロビー活動について内部情報をもとに報じていた。調査委はこの報道を受けて、野党側の要求により設置された。争点となったのは、マクロン大統領がオランド政権下で経済相を務めた2014年から2016年にかけての政府の対応で、ウーバーはこの頃、非業者による「相乗り」提供を建前とする「Uber Pop」アプリ(2014年2月から2015年7月まで)を提供していたが、その禁止に応じるのと引き換えに、政府から、契約先業者に義務付けられているトレーニング時間の短縮など有利な条件を取り付けた疑いがあると報じられていた。マクロン大統領は当時、経済相としてウーバーの責任者との会合に臨んでいたが、それは公表日程に含まれていなかった。報告書は、マクロン大統領が就任後に、2018年から2022年にかけて、大統領府スタッフとウーバーの間で34回にわたる意見交換がなされていることなどを挙げて、大統領とウーバーの間に不透明な関係が築かれていると問題視した。
報告書は、左翼政党LFI(不服従のフランス)所属のシモネ下院議員が作成担当者を務めた。報告書は、12人の野党議員の賛成票により承認されたが、連立与党所属の10議員と、保守野党「共和党」所属の1議員は投票を棄権した。調査委のアダド委員長(与党ルネサンス所属)は、秘密合意などは存在しておらず、報告書の結論には賛同できないとコメントしている。