仏食品小売大手カジノは17日に取締役会を開き、チェコの実業家クレティンスキー氏が提示した出資提案について交渉を継続することを決めた。今月中の合意成立を目指す。
カジノは64億ユーロの債務を抱えて経営が行き詰まっている。カジノの立て直しには、実業家ズアリ氏(冷食大手ピカールなど経営)が大物実業家のニエル、ピガスの両氏の協力を得て名乗りを挙げていたが、クレティンスキー氏の攻勢を受けて16日までに提案を取り下げており、候補はクレティンスキー氏のみとなっていた。同氏は、仏実業家ラドレドラシャリエール氏の協力を得て、カジノ救済の出資を提案。具体的には、両氏が9億ユーロの現金を注入し、債権者団からの支援も得て総額で12億ユーロを注入する。この現金資金を含めて、総額で60億ユーロの債務削減を実現する。クレティンスキーはこの取引後にカジノの経営権を獲得する。
クレティンスキー氏はエネルギー部門で成功した実業家で、保有資産額は推定で97億ドル(86億ユーロ)に上る。フランスでも、石炭火力発電所などの資産を安値で買い集めて足場を作り、その後、メディア界にも出資。フナック・ダルティ(家電、書籍など販売)の筆頭株主ともなっている。ビベンディがラガルデール買収の許可を得る条件として売却するエディティス(出版)も買収する予定で、カジノ買収も実現すれば、フランス実業界の大物の地位がさらに固まる。