パリ市のイダルゴ市長は9日、2025年夏に市内を流れるセーヌ川の3ヵ所に水浴場を開く計画を明らかにした。2024年のパリ五輪でセーヌ川はトライアスロンなどの競技場として利用されるが、開催にあわせて続けてきた水質改善の努力の成果として、恒常的な水浴場をオープンする。サンルイ島の右岸寄りの区間(4区)、「白鳥の遊歩道」と左岸(グルネル港)の間の区間(15区)、国立図書館に臨む右岸側のベルシー河岸(12区)の3ヵ所が整備される。
セーヌ川では、かつては水浴が盛んに行われており、1900年の五輪ではパリとその郊外のセーヌ川で多くの競技が行われた。1923年に水浴が禁止されるまでは広く楽しまれたレジャーだった。水浴再開は長年の課題で、故シラク大統領は、パリ市長を務めていた30年ほど前に、「3年後には私が自分で水浴をしてみせる」と豪語したものだが、その約束を果たさないまま亡くなった。それがようやく実現することになる。
政府は2016年より大規模な設備投資を行い、セーヌ川の水質改善を進めてきた。総額で14億ユーロ(うち半額程度を国が負担)を投資し、セーヌ川とその上流の支流であるマルヌ川沿いの汚水処理場の近代化をはじめとする取り組みを進めてきた。セーヌ川に係留されている船舶(260隻)の下水網への接続は半数が終了しており、五輪前にすべての接続が終了する。上流で生活排水が直接に川に流れ込んでいる問題では、違法状態の25%がこれまでに解消され、五輪開催前の時点でこの割合が50%に引き上げられる見通し。大量の雨が降った際に、雨水が川に流れ込んで水質を一時的に悪化させる問題では、オーステルリッツ駅近くに5万立方メートルの地下貯水施設を整備するなどして影響を軽減する体制を整える。