パリ経済学校附属の研究機関IPPはこのほど、富裕層の実効税率に関する調査結果を公表した。極めて富裕な層においては実効税率が顕著に低下していることを突き止めた。
この調査は、2016年(連帯富裕税ISFの廃止前)のデータをもとに行われた。個人所得だけでなく、個人が所有する企業の所得等に関するデータも利用し、実質的な収入と課税水準の把握を試みた。これによると、所得上位0.1%の世帯(3万7800世帯)においては、実効税率は46%に上るが、最上位0.0002%(75世帯)に限ると同税率は26%まで下がる。これは、極めて所得が高い世帯においては、個人所得よりも、保有する企業の所得が占める割合が格段に大きくなるが、企業所得は法人税課税(税率25%)が適用されることから、全体として実効税率が低くなることにより説明される。
この調査結果について、経済省は、税法上の区分が別の資金を合算しているという問題点があると指摘。個人が保有する企業の社内留保は、当の個人が自由に処分できるわけではないとし、同列に扱うことはできないとした。その上で、所得課税の累進性が最上位0.1%を除く99.9%の世帯で機能していることを確認する結果だと指摘し、調査内容を歓迎した。