政府は9日に脱税対策プランを公表した。アタル予算担当相がルモンド紙とのインタビューなどを通じてその内容を説明した。
対策プランは、富裕層と大手企業を主なターゲットに据えている。時価総額トップ100の上場企業については2年ごとに税務調査を実施、富裕者については、税務調査の実施件数を2027年までに25%増やすという。タックスヘイブンなどを利用した組織的な脱税の摘発を強化する方針も盛り込み、具体的には、100人程度の「精鋭税務官」のチームを編成し、外国における情報活動を含めた調査権を付与するプランを提示した。税務官は全体で2027年までに1500人の増員がなされる。また、脱税で有罪判決を受けた人に対する罰則も強化し、減税や税額控除を受ける権利や、投票権など公民権の一時停止、さらに、罰金刑と公益奉仕命令を組み合わせた処罰を可能にすることなどを提案する。これらの措置は、行政最高裁(コンセイユデタ)の法案事前審査の対象となる。
アタル予算担当相はその一方で、小口の納税者への圧力を弱める方針を示唆。税務調査によらずに解決を図り、初回の誤りについては課徴金を減免すること、また、当局側の誤りである場合に、納税者に当局が罰金を支払う形にすることなどを提案した。商店主や零細企業経営者などをはじめとする小口納税者に配慮する姿勢を示したのは、極右などへの支持になびきやすい層をつなぎとめるのが目的であるとも考えられる。