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仏領ポリネシアの議会選、独立派が勝利

4月30日に投開票が行われた仏領ポリネシアの議会選で、テマル氏が率いる独立支持政党「Tavini」が得票率44.3%で勝利を納めた。57席中38席を確保して多数派となった。自治政府のフリッチ現大統領が率いる「TAPURA」は得票率38.5%、議席16席を確保するにとどまった。これにより「Tavini」のナンバー2であるジェロス氏が自治議会の議長に、左派連合NUPESのブロザーソン氏が自治政府大統領に就任する。
フリッチ大統領には最近、新型コロナ危機への対応や、社会保障の財源とするための新課税の導入などで、批判が集中していた。仏領ポリネシアは、ジニ係数が0.4と米国並みに高く、所得格差が大きい。また住民の25%が貧困線以下で生活しているにもかかわらず、物価はフランス本土よりも30%程度高い。失業保険制度や生活保護もないに等しく、自治政府への不満が高まっているのを背景に、独立派は生活水準の改善や格差是正を選挙キャンペーンの中核に据えた。今回の選挙の争点は、独立是非よりもむしろ経済・社会政策にあり、独立派も「早急な独立実現」は掲げず、独立に関しては10-15年後を目指す意向を示唆していた。
とはいえフランス政府は、インド・太平洋における自国の軍事・経済戦略の足場であるポリネシアで独立派が勝利したことで、これら戦略の修正を余儀なくされることになろう。5月3日付けのルモンド紙は、独立派と中国の関係を指摘した。ルモンド紙によると、今回の議員選において仏政府は、中国の介入を確認できなかったが、中国はインド太平洋地域での独立運動を密かに支援することで、同地域での影響力拡大を図っている。

KSM News and Research